top of page
H1_2000pxスクエア_2021_0413.jpg
シンガー・朗読家・ペインターとして活動する
Chihiro Singsによる初の音楽劇絵本

​「月くじらのフォークロア」

2021年5月12日発売

定価:3,960円(本体3,600円+税)

月くじらのシルエット_s.png

BOOK REVIEWS

PAINTINGS

STORY

世界最大の生物であるくじらが宇宙を泳いでいたら?

「風も雨もない、朝も夜もない」真っ暗な宇宙空間を泳ぎ続ける月くじら。目指しているのはお月様。

不安な気持ちを胸に抱きながら、ひとりぼっちで旅をする月くじらの目の前に次々と現れるのは、ムキになって喧嘩をしている岩や、楽しそうに歌をうたう宇宙飛行士たち。でも月くじらの目的など、彼らは知る術もありません。そんな時、一際輝く星が月くじらに優しく話しかけます。

あらゆるドラマが繰り広げられる広大な宇宙の中で、月くじらは果たしてお月様に辿りつくことができるのか・・・

COMMENTARY

月くじらの物語を聞きたくはないかい?

彼女の書いてくる歌詞はいつもこことは違った世界を紡いできてどこかへ連れていってくれる。

自分もその中の住人になったかのような、自ずと“音”という言葉もその纏う空気が変わってしまう気がする。

いつも時間を見つけては筆を走らせ、ライブの折に出来上がった絵を置き土産にもらうこともあった。

 

2014年から始まったというChihiro Sings Tales。

何か初めたというのは本人から直接でなく耳にしてはいたが、何やら予想だにしない面白不可思議なことをやっているようだ、と気になってはいた。

それは予め見えているゴールではなく、一つ一つを赴くままに、4人の楽師たちと描きあげていき、やがて色が浮かび上がってきた宇宙空間。

言葉と音と絵と肌で感じる振動が、まるでそれが現実であるかのような錯覚をもたらし、ここだけ時間が止まったかのようで、匂いまでも漂ってきそうだ。

もしも宇宙旅行に行く機会があるとしたら、ぜひとも月くじらが遊泳しているところへ行きたいものだ。

 

ある誰かのたまたまの一言がきっかけで、導かれるように一つの手に取れる形となったこの絵本を、まだ見ぬ多くの子供と大人に。

BEN (NOA NOA / Piece of Peace)

MUSIC

Overview

「いつか自分の物語を、いつか音楽のある絵本を作ってみたい」

そんな想いを掲げながら幾度もの公演を経て、2021年満を持してメンバーとともにスタジオに入る。録音は2021年1月22日、そして1月31日の2日間に渡って行われた。レコーディングエンジニアは、プロジェクトメンバーの一員でもある、フルート奏者の上野洋。録音は基本的に(上野を除く)メンバー全員での一発録り。今までライヴを重ねてきたからこそ成立する音のコミュニケーション、イメージの共有、そして新たなアレンジの創出。そうして生まれたあたたかく豊かな演奏は、非現実的なファンタジーに包まれ、聞き手を煌びやかな宇宙空間へと誘う。

 

​作者作曲の「星雲」「アストロナウトのダンス」「晴れの海」「Nascence」そして「Moon Whale」以外の収録曲は、メンバーによるインプロヴィゼーションとなる。

Musicians

Chihiro Sings: 作詞、作曲、朗読、歌

佐藤浩一 : ピアノ、モーグアナログシンセサイザー

鈴木直人 : エレクトリックギター、アコースティックギター

三井大生 : ヴァイオリン

上野洋 : フルート

Engineering

録音:上野洋

ミキシング・マスタリング:上野洋

2021年1月22日、31日にパストラルサウンドにて録音

PERSONNEL

Chihiro Sings  composition, vocals, illustration, story

<profile> 1984年生まれ。静岡県出身、アメリカ・ミシガン州育ち。
ブラジリアンテイストのソウルミュージックユニット、”Piece of Peace” にてヴォーカリスト・リリシストを務める他、ジャンル問わず様々なアーティストやプロジェクトにヴォーカリスト・ポエトリーリーダー・作詞家としてライヴ及び制作に参加。
近年では、バイリンガルナレーターとしても活動し、2014年よりPanasonicのサウンドロゴの声となり、2022年度にデビューを控えるJR東海ハイブリッド列車「特急ひだ」および他在来線の車内アナウンスも担当している。

Q: 「月くじらのフォークロア」に込めた想いは?

いつか夢で見た景色。それは数え切れないほどの「死滅」と「誕生」の瞬間が繰り返される宇宙を舞台に、地球上で一番大きな生物のくじらがひとりきりで旅する姿でした。予定調和とはかけ離れた、そんなカオティックな美しさと恐さが入り乱れる真っ暗で色鮮やかな世界の中で、月くじらはどんな想いを胸に抱きながら月に向かっていくんだろう。どんな過去と未来の欠片が見え隠れするだろう。月くじら自身が「創造」する瞬間、何が起こるんだろう。

そんなことを空想しながら書いたお話です。

貴方がこのお話にふれた時に思い浮かべる景色を、いま私も一緒に夢みています。

Koichi Sato  piano, moog analog synthesizer

<profile> 米バークリー音大卒。

2011年にデビューアルバム「ユートピア」を発表し、2016年に室内楽的要素も内包した変則セクステット作品「Melancholy of a Journey」をリリース。2019年には伊藤ゴロー・福盛進也とユニットを結成し「land & quiet」をリリース。その他「佐藤浩一&福盛進也デュオ」「Bungalow」「本田珠也トリオ」「橋爪亮督GROUP」「挾間美帆m_unit」などでも活躍中。即興を中心とした演奏活動と並行して、作曲・編曲活動やオーケストレーションの研究を独自に進め、ジャズと叙情的旋律との親和性を追い求めるべく、現在進行形を切り拓いている。

Q: 「月くじらのフォークロア」という一つの作り込まれた作品の中でのインプロヴィゼーション、どんなことを意識した?

Chihiroさんの朗読のトーンや緩急、空気感を意識しました。読まれる言葉自体は決まっていますが、それがどのように発せられるかはピアノやそのほかの楽器の演奏次第で変わってくる。朗読も音もなるべく自然発生的になるように、その場のペースや間を大事にしました。 その上で、ときに物語の景色を表現したり、ときには登場人物の動きを表現したり。朗読と並行して音でも物語を読んでいるような感覚でした。あとは言葉を邪魔しないこと。言葉が持つ情報量は多く、楽器で音をたくさん弾き過ぎると情報過多になるので、少なめの音数で音の余韻を活かそうと心掛けました。ただし物語の中盤に出てくるピアノの長めのインプロヴィゼーションでは、Chihiroさんのエモーショナルな朗読を受けて自由にたっぷり演奏しています。

Naoto Suzuki  electric & acoustic guitar

<profile> 1976年生まれ。

4歳からクラシックピアノ、6歳からヴァイオリン、12歳からドラム、13歳よりギターを始める。15歳より鈴木よしひさ氏に師事。2004年 Gibson Jazz Guitar Contest優勝。徳田雄一郎RALYZZ DIGのギタリストとして全国や海外のジャズフェスティバルに多数出演するなど、様々なフィールドで積極的に活動をしながら、由紀さおり、綾戸智恵を始めとするメジャーアーティストのサポートも務める。自身初のリーダーアルバム「Resonance & Emission」を2019年に、初のソロギターアルバム「Before the Dawn」を2021年にリリース。

Q: ライヴでの演奏と今回のレコーディングを経て気づいたことや感じたことは?

ライブの即興部分はインプロヴィゼーション100%だったけど、レコーディングは若干狙いや計画の重きが増えた事でより情景に音楽を近づけられたと思う。そもそも自分はクラシックピアノとバイオリンを幼少期にやっていて、家ではジャズフュージョンのレコードがずっとかかっていて。聴くにせよ演奏するにせよ、音楽を楽しむ事に関して言葉を用いない器楽音楽が始まりであり基本であり、ボーカルの入った音楽の歌詞を気にするようになったのは高校生以降からかな。そして僕は映画やドラマなどBGMを作曲する仕事も殆どしたことが無いので 具体的な情景や心情や時間の流れを自分の即興によるギター演奏で表現するって、Chihiroちゃんに誘ってもらったのが初めての事だった。Chihiroちゃんにはいつも良い経験をさせてもらっているし、今回の作品作りも他のメンバーの演奏や交わす意見が大変参考になって楽しかった。ジャズフュージョン黄金期はもう終わっていて、でも優秀な楽器の名手や即興演奏家は日本にたくさんいて、そういったジャズミュージシャン等の技術と感性がこの様なChihiroちゃんの形式(朗読と絵と即興演奏)で少しでもジャズファンや即興音楽ファン以外の方々にも広がって行ったら良いなあと思う。

Daisei Mii  violin

<profile> 幼少期よりバイオリン教育を受ける。クラシック音楽教育による基礎的素養、様々なジャンルを経験したことによる自由な音楽性は、場面ごとに変化に富んだ音色・グルーヴ感にあふれるプレイ・自由なアドリブプレイ等が各方面で安定した評価を得ている。現在は弦楽器7本とリズムセクションで往年のビッグバンドナンバーを奏でる三井大生&Swing Strings Orchestra主催。その他、ソロ・プレイヤーとして、またセクションリーダーとして、ライブ・コンサート・スタジオなどで積極的に活動している。

Q: ピアノ、ギター、ヴァイオリン、フルートという編成の中で演奏する魅力とは?

よく考えたら、通常ならサウンドのボトムを支えるベース・ドラムといった楽器がいない編成だということを、今までまったく意識しなかったのは、もちろんボーカルも含めた、このメンバーのタイム感の素晴らしさゆえのことです。

 物語にあわせた曲の展開を、皆が口頭で、そして音で積極的に意見を出し合って作り上げていく過程でも、メンバー皆さんの高い音楽性をひしひしと感じました。時には空間的に、時にはグルーヴィーに、先の展開のイメージを自然に共有して音を紡いでいくことができたことは、音楽家冥利に尽きる体験でした。

 もちろん今回で終わってしまうわけではなく、このプロジェクトの今後の展開も楽しみにしています!

Hiroshi Ueno  flute, recording & mix mastering

<profile> 9歳から斎藤勇氏にクラシックフルートを師事。モダンジャズ研究会への参加をきっかけに、ジャズ、ブラジル音楽、ポップス等の演奏を開始する。現在は、様々なアーティストやTV、CM等のレコーディングとライブサポートで活動。並行して、2003年よりミディレコードに在籍。レコーディングエンジニア、編曲、サウンドプロデュースなどで多数の作品に関わる。2013年3月にミディを退社、現在はフリーランス。

Q: 今回のレコーディングで、録音時・ミックス時に感じたこと、気をつけていたことは?

朗読と歌、楽器の即興演奏が継ぎ目なく展開される今回の作品では、それぞれが呼応して変化する音量や音色を極力デフォルメせずに録音するように心がけました。 ミックスにおいても同様で、バランスや音色、音楽的なフォーカスの変化はすべてメンバーによる表現の結果です。

各人の豊かな演奏に支えられ、音響的にも手ごたえのある作品になりました。

Chlor:d  design

<profile> クロアデザイン https://www.senseofeuphoria.net/

制作会社にて多岐にわたるグラフィックデザイン製作を経て、2013年よりクロアデザインとして独立。デザイン制作の他、イベント企画とプロデュース、商品企画、ディスプレイデザインなども携わる。

2020年にカラーストーンジュエリーブランド、Sense of EUPHORIA(センスオブユーフォリア) をスタート。様々な天然石を使用したジュエリー・雑貨のデザイン製作と販売も行う。

Q: 既にヴィジュアルや文字情報が決まっている作品にデザイナーとして関わる際、大切にしたことは?

曲と語りが合わさり一つの作品として完成する絵本でしたので、音楽と画が一体化することを一番に意識しました。具体的には、語り手の声調子のイメージに合うような書体をセレクトしたり、語りと絵本をめくるテンポを考えながら本文をレイアウトしたり。ページ内の文字量や文字の間隔なども、ミリ単位で調整を重ねました。また作品に引き込まれてゆく読者のさまたげにならないよう、本文の文字色も真っ黒ではなく少し柔らかい黒を使用しています。レイアウトしながら何度も音楽と合わせて絵本を聞きましたが、聞くたびに絵が瑞々しく動き出すような感覚を覚えたので、そうした魅力が一人でも多くの読者に伝わることを願っています。

月くじらのシルエット_s.png
H1_2000pxスクエア_2021_0413.jpg

2021年5月12日発売

定価:3,960円(本体3,600円+税)

出版社: 三恵社

ISBN9784866934327

bottom of page